ミシッと聞きなれない音がした。去年買ったばかりの耐熱ガラス製のティーポットの悲鳴だった。取っ手を掴んだ瞬間、下の付け根周りにひびが入っているのを信じられない思いでみた。毎晩寒い台所にいて、毎朝熱湯を注がれる。そんな日々に耐えられなかったのかもしれない。それでもひびで済んだからもう少し使ってみる。職場のあるビルに高校生がうじゃっといた。受験会場になっているらしい。今日は朝から社員俺ひとりでキリモリした。初めての時間は何事も無く過ぎたけど、気付かれない程度に少し大きくなったような気がする。部屋のカレンダーを1枚めくった。
浅田次郎「鉄道員」を読んだ。高倉健主演で日本アカデミー賞を総なめにした同名映画の原作で、直木賞受賞作である。文庫を開き、もくじを見たときに初めて短編集だと知った。巻頭の表題作「鉄道員」はわずか39頁しかない。廃線間近の北海道のローカル線が舞台。方言に懐かしさを覚える現実感に神秘が混ざったストーリー。坂本龍一「ウラBTTB」に収録の主題歌「鉄道員」が好きで、高校3年の実家暮らしの末期によくピアノで弾いていた。物語も知らずに物悲しいメロディを好き勝手に。今また弾いてみたい気もする。里芋で肉じゃがを作ってマロニーを減らした。
始まりは早く終わるのは早い。もうクリスマスケーキの時期かと思ったのはいつだったろうか。恵方巻のご予約承りますもすっかり定着した。ひとりの自分には「鬼は外、福は内」と豆をまくより、黙って太巻きを食っていたほうが現実的である。こんな時しか太巻きを食べないし、かんぴょうの消費量も増える。だけど福豆も忘れない。どちらかを選ぶなら福豆にする。福豆を捨てて恵方巻だけを食べるようになるのはなんだか悪い気がする。まくことなく歳の数以上を、南南東を無視して両方とも食べる。恵方巻きを初めて知った時に笑った自分のように、分かれ目は変動する。
立春。暦通り全国的に春のような陽気になると天気予報は伝えた。それを3月中旬から下旬並の暖かさと言ってしまったから、ロマンが無くなった。だってその頃は春分だもの。雨水・啓蟄と2つも飛ばしている。二十四節気は細かいのだ。寒さは底をついたばかりでまだ厳しいけど、これからやってくる暖かさを心待ちにするのが立春の味わいではないかと思う。仕事も既に来年度のものに取り掛かっていて、今日その第一弾を仕上げた。その成果をこのまま見届けることが出来るのかどうか分からない。そんな立場で迎える初めての春が現実味を帯びてやって来る。
短編集「鉄道員」の続きを読んだ。表題作「鉄道員」をはじめ8編が収録されているが、読み進めていくうちに妙な感覚に陥った。どうやら読んだことがあるようなのだ。ところがストーリーは一向に思い出す気配がない。だから、あーそうだった!とはならず、あれー?俺知ってるような・・・となる。今の会社にお世話になると同時に始まった読書習慣も4年以上が経つ。図書館で借りて読んだ本は記録しているから、哀しいことに記憶になくても確認は出来る。でもその一覧にもない。今、既読感に読後感が混ざって分離出来なくなった。どちらにせよ不思議な本に出会った。
タイヤ交換はイエローハットですることにした。ディーラーを含めて見積りを出してもらった4ヶ所を比較しての選択になる。共通していたのは、在庫は無いので取り寄せになるということだ。そんなわけで事前相談に自転車で行き、日程を決めた。返品不可のため千円からの預かり金を要求されたが、全額クレジットで払った。どうせ変わらんし。続いて市立図書館20館目の訪問、北浦和図書館で2本3CDを借りる。中山道を北上して、コクーン新都心でちょっと食器をのぞく。そしてロッテリアのハニーマスタードチキンバーガーで遅いブランチ。タイヤはPlayz PZ-XCにする。
村上春樹・佐々木マキ「ふしぎな図書館」を読んだ。「オスマントルコ帝国の税金のあつめ方」の本を探すぼくにとんでもないことが起きる・・・。図書館において、利用者の知りたい事柄を代わりに調べて資料探しの手伝いをすることをレファレンスサービスという。かつてボクが憧れたサーチャーとはそういうものである。どんな質問にも答えられる。ボクはそれがかっこいいと思っていた。<だから羊男さんの世界に私が存在しないからといって、私そのものが存在しないってことにはならないはずよ>ボクは情報化されない現実のかっこよさを知った。そして情報化している。
職場の机の中にカロリーメイトが入っている。一番下の一番大きな引き出しの一番奥に。万が一のための非常食で、水と保温シートと簡易トイレと一緒にサバイバルキットとして会社から支給されているものだ。通常の市販品と違って「長期保存可能」「Long Life 3 years」と印字されていて、そのまんま賞味期限が3年に設定されている。それが今月で切れるので、去年もらったばかりだったけど新しいものと入替えをした。嬉しいことに古いものはそのままもらえた。1箱2本入りが6箱、1200キロカロリー。フルーツの方が好きなんだけど、チョコレートしか設定がないそうだ。
出勤途中で雨が雪になった。昨晩から降っていれば数センチは積もっただろう。梅林のある大宮第二公園は梅まつり開催中ながら園内路に沿って下がっている提灯の方が目立つ。大宮公園では昨日こもが外された松たちが見るからに寒そうに立っている。午前中で雪は止んだ。湿気を帯びた帰り道はいろんな匂いを感じた。夕飯は3日連続の肉じゃが。さといもではなくじゃがいもの肉じゃが。鍋残りのマロニーちゃんはこれにて完食。富士フイルムから「FinePix HS20EXR」が発表になった。3月5日発売とのこと。これで2年間の後継機争いに終止符を打とうと思う。
パートのGさんが今日を最後に退職となった。新宿で正社員として働くことになったそうだ。そんなわけで身内でささやかな送別会を開いた。ローテーションの週末掃除当番が運悪く自分に当たっていたけどFさんに代わってもらった。すんません。大宮駅前の焼鳥日高に入る。立ち飲み形式の居酒屋だけど、店の奥にテーブルがあってそこに2時間ぐらい座ってしゃべっていた。駅前で解散し、せっかくなので帰りにロフトに寄った。バレンタイン関連に群がる女たちをよそに、キッチン用品コーナーでティーポットやらお皿を見てた。来週には新しいパートさんが入ってくる予定。
「今日の午前中ですか?」予定通りタイヤ交換に行くとそう問い返された。店内に掲示されていた予定表に愛車の名前は無かった。「作業時間確認しますので店内でお待ち下さい」と言われて1時間。呼ばれて行くとナットが無いと言われ、専用キーを渡した。ホイールロックを付けてるので普通のレンチじゃタイヤを外せないのだ。待合に読むつもりの本を忘れてきたのは自分だけど、疑問を抱えながら2時間もコナンを読んでた。雪の降る外気に晒されながら作業してくれたクルーの汚れた手を見て、タイヤを履き違えてないかだけは確認した。きっと乗り心地が変わった。
「かざしてBigAmerica2 スタンプ獲得」という件名のメールが今朝届いた。昨日のお昼にマックのマイアミバーガーをかざすクーポンで買ったからだ。要するにスタンプラリーで、対象商品を携帯のかざす会員証を提示して購入するとスタンプが付いて、集めた数によって賞品がもらえる仕組み。レベル99までRPGをやり込む性格の自分だから、リアルでもそれを目指す傾向にある。同じくマックに「アナタが食べたメニューコレクション」というページがあるのを知った。現在8/97メニュー。「(集めても)賞品はございません」という注意書きがいい。結果よりもそれ自体を楽しむ。
洗車した。こっちに来て二回目。綺麗な状態で車検に出そうと思って、3時間ぐらいかかった。自宅水道からホースでも使えればもっと早いだろうけど、ひとりバケツリレーを10往復ぐらいした。でこぼこしたエンブレムもナンバープレートもハブラシ使って砂埃をかき出した。もう9年も乗ってるから、タイヤ以外あちこちに傷があるのはしょうがない。昨日、凍結した路面にスリップして派手にすっ転んだ。しかも踏切内で、誰にも見られずに右肩を打った。幸い電車は通らなかったけど、自転車のカゴから買物袋が飛び出して焦った。まだ痛むけど、引き続き部屋も少し掃除した。
朝、小雪だった。降るのは夕方からじゃなかったのかい、と思いながらコートの腹に雪花を蓄えながら突き進んだ。日中には一旦止んだものの、夕方には雨になって戻ってきた。イイダで行方産のわさび菜を買ってきて、ピリっと夕飯のサラダにした。B'zの松本孝弘がラリー・カールトンとの共作「TAKE YOUR PICK」でグラミー賞を受賞した。そのニュースで思い出したようにアルバム「KNOCKIN'“T”AROUND」から、F1のテーマ曲として使われていた「GO FURTHER」を繰り返し聴いてる。窓の外で雪が降り積もっているのに気付かなかった。明朝はもう走れそうもない。
駅に着くとちょうど電車が来た。終点の大宮駅にしてもこの辺の駅は改札がホームの端にあるから、最短の先頭車両ほど混んでる。満員を覚悟して駆け込んでみるとそうでもなかった。運転席の向こうに見えるレールが雪上に浮かぶように続いていた。帰りはお金を下ろしたかったので、大宮駅西口のATMまで行って、ついでに東急ハンズで買物をした。数年前にサラダ用に使っていた皿を割ってしまい、使用頻度の少ないグラタン皿でずっと代用してきた。そのぶ厚いグラタン皿も先日割ってしまい、ここ数日は丼で代用してきた。今晩から樹脂製のサラダボウルが後継。
自転車通勤に戻る。溶け残りの雪が固まってまだ危いところもあったけど、ほぼドライの路面。おかげで帰りもスムーズだった。今日からの新人パートさんが帰った後、定刻で職場を出ると、外がまだ明るいので季節の進みを感じた。早くも9年目の車検持込日。一時帰宅して、フロントにまだ雪が積もってる愛車に乗ってディーラーに行く。初めての代車はプレオだった。愛車とはグレードが違うので、オートマがとにかく軽い。アクセルにエンジンが空回りして思ったように加速しないのがもどかしい。ピンチどころかチェーンが壊れた洗濯ハンガーを金属フレーム製に取替えた。
職場に父と片山右京さんがやってきた。会社のイベントで社員とその家族を対象に右京さんの講演会が開かれたのだ。元F1レーサーの右京さんは、モータースポーツの他に登山や自転車など様々な活動をされている。昨年末に南極大陸最高峰のヴィンソンマシフに登頂され、そこでの体験を中心にいろいろと興味深い話をしてくれた。「地球が丸いように行いは還ってくる」などなど。残念ながら録音には失敗したけど、握手して言葉交わして写真撮ってサインもらった。父とecute大宮のかにチャーハンを食べてお互い電車で帰った。父に喜んでもらえたのが嬉しかった。
朝から強い雨だった。昨日は電車で帰ってきたので、電車で行くしかないからちょうど良かった。駅に着くと今日もちょうど電車が来たけど、3・4両目に乗れるぐらいの余裕はあった。仕事終わり近くになってディーラーから電話で、予定通り車検が終わったとのこと。昨日置き忘れていった傘と今朝の傘と2本持って自転車で一時帰宅。代車プレオに乗って、愛車プレオを迎えに行った。アライメントの結果、左フロントのキャンパーが若干ズレているとのこと。残念ながらプレオは調節出来ないそうだが、走りに問題ない範囲とのこと。やっぱり乗り慣れた愛車の駆動感がいい。
阿刀田高「旧約聖書を知っていますか」を読んだ。車検も終わり、タイヤの問題で控えていたドライブに出かけたい気持ちを腰痛が萎えさえる。昨日、荷物を持ち上げた時に軽く傷めてしまい、歩いたり腰を動かすとちょっと辛い。治ったはずの小児ぜんそくが体力が落ちたときにひょっこり出てくるように、昔やったぎっくり腰が時々現れては苦しめる。そんな中、風呂場で髪切って、そのまま入浴読書で体を温める。旧約聖書はユダヤ教とキリスト教はもちろんイスラム教にも関わってくる。それがざっくりとエッセイにまとめられているので面白い。少し世界を知った気がする。
中央区の与野南図書館に行く。ドライブというか単なる市内移動だけど、愛車と新しい道を刻んでいく。国道463号バイパスが国道17号にぶつかる十字路の先が県道57号として開通したのは最近のこと。手持ちの地図だとそのまま行けば目的地付近だけど、新道は微妙に南にカーブしていく。見当をつけて旧道に戻って小学校横にひっそりと建っている図書館に到着。1本9CDも借りる。ヨークマートで買物後、帰路に通った大宮公園からぞろぞろと人が出てくる。さいたまシティカップとして「レッズ対アルディージャ」のさいたまダービーがあったらしい。3-0で大宮の勝ち。
図書館で借りて読んだ本の履歴は管理しているけど、借りて聞いたCDの履歴は残していない。PCに保存しているので、あえて記録しなくても手元に残るから。実際は取り込み時にタイトルとか入力しているから記録していることになるのかもしれないけど、いつどこで借りたとかはいちいち書かない。昨日借りた9枚のCDの中には、実家に帰ればあるものの、久々に聞きたくて借りたものもある。accessやTWO-MIXはCDとして持ってるけど、ASKAの「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」はカセットテープにダビングしてある。HDDは約3400曲も吸いこんでるけどビクともしない。
バーレーンGPが中止になったそうだ。3月13日にF1の今季開幕戦が予定されていたものの、反政府デモの影響で安全を確保できないと、バーレーンの皇太子が声明を発表したとのこと。チュニジアに端を発した反政府デモはエジプトでムバラク政権を崩壊させ各地に飛び火している。戦時中の日本のように情報統制が敷かれ表現の自由が規制されている世界は、偏摩耗したタイヤで走り続けるようにいずれスリップして事故を起こす可能性がある。デモを指揮しているのは世界最大のSNS「FaceBook」だとかいう話もある。現実と情報を判断して行動するのは自分だ。
ニュージーランドで大地震が起きた。クライストチャーチの被害が大きく、大聖堂が倒れたりして多数の死傷者が出ている。日本人も30名近くが行方不明だそうだ。こんな時はイエモンの曲、JAMの「ニュースキャスターは嬉しそうに 乗客に日本人はいませんでした」っていう歌詞を思い出す。シカゴ出身の大学の先生がイエモンファンで「オカシイヨ」って言ってたので。海外での報道はどうなんでしょう。邦人の安否確認は外務省の仕事で、それを伝えるのも報道の仕事だと思うのですが。まずは家族や友人知人が巻き込まれてないか知りたい、助かって欲しいって祈る。
各地から担当者が集まって会議。俺はメンバーじゃないけど、仕事終わりの懇親会には顔を出した。前々回は初顔合わせということで乾杯の挨拶をして、前回はその日の仕事が終わらなくて不参加で、今回は2軒目まで行って遅くまで付き合った。話題は3月1日に発表されるはずの異動の予想とか希望の話。そうなると急に意識しちゃってそわそわしてきた。1年じゃ動かないのが普通だけど、俺の場合は初任地だったからどうなるか分からない。いて欲しいとか、来て欲しいとか言われるのは嬉しいし、「地味だけどよくやってる」というのは俺らしい評価だと思った。
失くしたと思ってた携帯用の充電池式充電器が出てきた。使い込んだユニクロのショルダーバッグに入ってた。今では滅多に無い踏査専用のバッグにしたので、なかなか気付かなかった。安心して電話もかけられないぐらいバッテリーのもちがすこぶる悪くなっていたので、見つかったのは心強い。関東で春一番が吹いた。交代した掃除当番をこなして、若干遅くなった強風の帰り道、自転車にはきつかったけど、手袋なしで走れた。深夜にかけて風がどんどん強くなって、自転車置き場の屋根が共振してヴーンと鋭く唸りはじめる。ガシャーンと音がして自転車が倒れた。
月曜日分から溜め込んだ日記を書く。その日のうちに書けず、感じたことからどんどん遠ざかっていくとやっぱり忘れて書けなくなるから、一応一言ぐらいメモしておく。しておくんだけど、間が空いた分だけその日の自分よりも遠い内容になる。日記の他にも地図にポイント打ってるから更新量は実際多くなってる。好きで調べてやってるから自分の首を絞めてるとは思わないけど、作りたいものを形にするスピードは遅くなってると思う。もうちょっとしたら違う形にまとめたいし、他にもやりたいことあるし。手続きが終わって車検証が届いた。愛車との10年目は何処に行こうか。
愛車に新しい車検標章を貼って、自転車で出かけた。七里図書館でCDだけ先に返却して、S5000と最後に写真を撮りに行く。芝川の先にさいたま新都心を望むけど、お昼過ぎの空気はもう霞んではっきりしない。浦和駅を少し過ぎて調神社(つきじんじゃ)。遅い初詣になったけど、卯年にはぴったりの狛兎が迎えてくれる。埼玉県庁から西に行くと別所沼公園。さいたま市役所から北に行くと北浦和公園。好きな人との別れが迫ってくる時みたいに、どんどん切なくなってくる。あまりに多くのものを一緒に見て作ってきたから。大宮公園の梅林は少し寂しい最後だった。
雨の月末。昨日のサイクリングではいい汗かいたけど、今朝の通勤はやや濡れた。京大の入試問題を試験中にYahoo!知恵袋に投稿し回答を得るという行為が問題になってる。受験生本人が携帯で打ち込んだんだとしたら、面倒臭いことするなぁと思う。自分の高校時代ではあり得ないけど、問題文をなぞるだけで投稿できる通信機能付きペン型OCRスキャナーとか、もっと進めば目で追うだけで回答が受信できる時代がくるかもしれないよ。その代わり試験なんてもう意味なくて、人間はガチガチになってる。問題の解き方としては面白いけど、つまらないことするなぁ。